『拝啓 砕蜂様

元気にしていますか?
此方は漸【ようや】く義骸が魂の年齢に近付いてきたところです。』


神田は一度筆を紙から離し、硯【すずり】の隣に置いて少々考え込む。
そして再び筆を取り、硯に注いである墨に筆を浸し、文字を書き始めた。


『貴方と別れてから早十四年になりますが、夜一様は相変わらずでしょうか。聞かなくても変わっていないとは思っておりますが。

砕蜂、大きい怪我等はしておりませんか?病を患ってはいませんか?』



『早く、この任務を終わらせて、貴方に逢いたいです。』



「ユウー、何書いてるさー?」
「手前には関係ねえ事だ莫迦兎」
「あ、それ僕も気になります!」
「そんなに六幻の錆になりてえのか?モヤシ」
「いいじゃないの!カンダのケチ!」


行き成り部屋に乱入して不躾に手紙を覗く闖入者達。

「えーと、『ハイケイ サイ・・・』」
「ほう、そんなに六幻の錆になりてえのか?」

キィンと高い音をさせてイノセンスの形状を保っている六幻をラビの首筋に突きつける。ひぃ!と悲鳴を上げてラビは涙目になって謝った。


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『拝啓 神田ユウ様

お元気でしょうか?
私は変わらず元気です。
夜一様も相も変わらず元気です。
大病を患ってはおりません。
怪我は、先の任務で一度だけです。
たいした怪我ではないのでご安心ください。』


「のう、砕蜂」
「ひぁっ!よ、夜一様!?」
「何を書いておるんじゃ?」
「え、あ、その、それは・・・」

文をさらりと流し読みして夜一は笑った。

「ほう、神田へ恋文か」
「・・・ッ」

いきなり顔を真っ赤にさせて照れる砕蜂。口をぱくぱくとさせ、文を胸に掻き抱いてズザザと窓際(文机はすでに窓際だが)に下がる。

「折角の恋文が皺になってしまうぞ」

ひどく楽しそうな口調で夜一は言う。その台詞にハッと気付いたように砕蜂は文を体から離した。
しかし既にもう皺がよっていて、乾いていない墨汁でぐちゃぐちゃになっていた。

「―――夜一様っ!」
「すまなんだな、砕蜂」

けらけらと笑って続ける。

「なに、明日の朝までもう誰も来まい。今からゆるりと書けばよいじゃろう」

ではな、と言って夜一は室の外に出た。もう一度書き直すのも恥ずかしくて砕蜂はただ赤くなるばかりだった。



<完>
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神田×砕蜂(あ!隊長じゃない!)
意外とこの二人書くの楽しかったです。
夜一さんにからかわれる砕蜂と
ティーンズにからかわれる神田。(刀とりだしてますが・汗)


聖花さま、こんな感じででよろしかったでしょうか?


リクはこれからも受け付けていきますんでどうぞよろしくお願いしますねv
_(._.)_

※お持ち帰りは聖花さまのみとさせて頂きます。